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経営・組織論 ITパスポート対策ストラテジ系-企業と法務編①

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2023-11-242023-09-21

会社の法的形態

企業とは、営利目的で経済活動を継続して行なう組織体のことで、会社法に基づいて設立された企業(会社)には、株式会社持分会社(合資会社、合名会社、合同会社)があります。

会社の法的形態(株式会社、持分会社(合同会社、合名会社、合資会社))

株式会社

この中でITパスポートの試験上重要なのは株式会社です。

株式会社では、企業の所有権のようなものである株式と引き換えに出資者から資金を得て企業活動をおこなっていき、企業活動によって得られた利益の一部は配当金という形で株主に還元されます。

また、株主は株主総会の決議によって取締役の選任・解任など重要事項を決定することができます。

株式会社のイメージ(株主、取締役、株主総会)

経営理念と経営資源

企業あるいは経営者によって表明された企業の目的、理想、価値観、行動指針といったもの、つまり「この企業は何を行うために存在するのか」についての基本的な考え方が経営理念です。また、経営理念をより具体的な目標に落とし込んだものが経営目標になります。

経営理念を実現していくため企業が用いることができる資源には、大きく分けてヒト、モノ、カネ、情報の4つがあると言われ、これらの資源を適切な状態に保ち活用していくことが重要とされます。

ヒト・モノ・カネ・情報

企業の社会的責任

企業の社会的責任=CSR(Corporate Social Responsibility)は、今日非常に重視されている考え方で、企業が自身の利益追求だけでなく、社会の一員として従業員、株主、取引先、地域住民など多様なステークホルダー(利害関係)と良好な関係を築いていくことを求めるものです。

企業の社会的責任に関連する出題事項には以下のものがあります。

SDGs

Sustainable Development Goalsの略称で、国際会議で定められた持続可能な社会を営むために2030年までに達成すべき環境や開発に関する国際目標のことです。

グリーンIT

環境に配慮したIT機器の使用やITを活用した省エネルギーなど環境保護の実現する意味する言葉です。似た用語に、資材などを購入する際に環境に配慮した物品を優先的に選択することを意味するグリーン調達があります。

ディスクロージャー

経営状況や活動内容などの企業の情報を外部に対して公開することを意味します。

ディスクロージャーには自主的なものも含まれますが、上場企業の決算情報の株主に対する開示など法的に強制される情報公開もあります。また一部の企業は外部の専門家による監査を受けることが義務付けられており、これにより公開情報の正確性が担保されています。

社会的責任投資(SRI)

期待できる利益のみならず環境や人権など社会問題への取り組みも考慮して投資を行うことを意味します。

PDCAサイクル

PDCAサイクルは、経営管理の基本的な手法であり、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)を循環的に行っていくことで業務の質を継続的に向上させていくというものです。

PDCAサイクル

OODAループ

PDCAサイクルに似た感の言葉でITパスポート試験に出る可能性のある用語にOODAループというのがあります。

これは、Observe(観察), Orient(方向づけ), Decide(意思決定), Act(行動)の頭文字をとったもので、意思決定を合理的に行うための手法の一つとなります。

事業継続計画(BCP)

BCP ( Business Continuity Plan)は、災害などで企業が被害を受けた際にも円滑に事業の復旧、継続を行うことができるよう、予め定めておく計画のことです。

BCPを策定する際には、ビジネスインパクト分析を行いどのような業務が停止したらどのような影響があるのかを詳しく評価することを有効です。

PDCAサイクルの考え方を取り入れてBCPを継続的に運用、改善していく活動をBCM ( BusinessContinuity Management:事業継続管理)といいます。

人的資源管理(ヒューマンリソースマネジメント)

企業が活用できる資源にはヒト、モノ、カネ、情報があると先ほど書きましたが、この内、ヒト=人材を管理し有効に活用していこうという活動がHRM(Human Resource Management ,人的資源管理、人材マネジメント)になります。IT(情報技術)を活用した人的資源管理はHRテック(HRTech)とも呼ばれます。

人材育成

人材の育成に関する用語には以下のものがあります。

OJT実際の業務を通して仕事を教える研修手法。
Off-JT業務外のセミナーなどで必要な業務知識を身に着けさせる研修手法。
e-ラーニングコンピューターやインターネットなどの情報技術活用した教育。近年は、似たような意味でEdTech(Education Technology)という用語も使われます。
アダプティブラーニング画一的な教育を行うのではなく、個々のスキルや理解度に最適化された学習内容を提供していく手法。
コーチングコーチと呼ばれる相談役との対話によって目標達成やスキルアップを促していく手法。
メンタリングメンターと呼ばれる相談役が対話やアドバイスを行い、成長を支援する人材育成手法。

人材管理

人材の管理に関する用語には以下のものがあります。

タレントマネジメント個々人の才能や能力を分析、管理して人事配置などに活かす活動。
MBOManagement by Objectives(目標管理制度)。上司ではなく自身で目標を設定し、その到達までを管理する制度。
CDPCareer Development Program。個人の適性や希望も考慮して決める中長期的な人材育成プログラム。
リテンション人材の流出を防止するために行う様々な施策のこと。
ワークライフバランス仕事とプライベートのバランスのこと。過度な労働を行わせるとモチベーションの低下やメンタルヘルス不調を招くため適切な管理が必要となる。
ワークエンゲージメント仕事に対してポジティブで充実した心理状態のこと。
ダイバーシティ年齢や性別、人種にとらわれず多様な人材を活かすこと。

テレワーク

テレワークとは、場所や時間にとらわれずに働く労働形態のことで、以下の類型があります。

在宅勤務自宅での勤務。
モバイルワークモバイルパソコン、タブレット端末などのモバイル機器を使用した場所を限定しない勤務形態。
サテライトオフィス勤務本社以外の小規模なサテライトオフィスを利用した勤務形態。

テレワークの導入により広域での採用が可能になり多様な人材が獲得できる、オフィスを縮小して賃料を節約できるなどのメリットが期待できますが、労務管理の困難さなど経営上の留意点も存在します。

企業の組織形態

企業は、規模や目的に応じて様々な組織形態をとりますが、その基本は上位職の指揮命令に従って下位職が働く階層型組織です。

階層型組織のイメージ

組織のトップには最高経営責任者CEO:Chief Executive Officer)や最高財務責任者(CFO:Chief Financial Officer)、最高情報責任者CIO:Chief Information Officer)などがおり、彼らの策定した戦略に基づいて組織が行動していくことになります。

機能別組織

機能別組織あるいは職能別組織では、個々の機能を単位として一つの部門とする組織で、例えば、営業部門、製造部門、管理部門、研究開発部門といった具合に組織が構成されます。

機能別組織のイメージ

機能別組織のメリットとしては、専門性を発揮しやすいという点が挙げられまずが、全社的な視点を持った人材が育ちにくなどのデメリットもあります。

事業部制組織

事業部制組織では機能ではなく事業を単位として組織が構成されます。

事業部制組織のイメージ

事業部制組織のメリットとしては、ここの事業単位で業績を把握しやすい点やトップマネジメントの負担が軽減される点が挙げられます。

事業部制組織の各事業部の独立性をさらに強めたものはカンパニー制と呼ばれます。

カンパニー制の各カンパニーは法人として独立しているわけではありませんが、これを子会社として独立させ、本部は各子会社の株式を保有するが直接事業は行わない持株会社と呼ばれる形態もみられます。

持株会社のイメージ

マトリックス組織

マトリックス組織は、職能別組織と事業部制組織のいいとこどりを狙った組織形態で、メンバーは職能別の部門に属すると同時に事業部にも属します。

マトリックス組織のイメージ

情報の共有を図りやすい人的資源の共有ができるなどの利点がありますが、指揮命令系統が2つになるため混乱が起きやすいというデメリットもあります。

恒常的に事業部に属するのではなく、プロジェクト毎に職能別の部門からメンバーを集めてチームが結成される形態は、プロジェクト組織と呼ばれます。

社会におけるIT利活用の動向

ビッグデータとAI

様々なものがデジタル化された結果としてビッグデータと呼ばれるように使用可能なデータの量や種類は飛躍的に増加しました。

コンピュータの処理能力の向上が向上したこともあり、こうした膨大なデータを分析し有益な情報を得ようとするデータマイニングの技法やプログラムにデータを学習させることにより一定の処理能力を獲得させるAI(人工知能)的技法が大きく発展し様々な分野で利用されるようになってきています。

また、最近では、データ学習により処理能力を獲得したプログラムが、文章・画像・音楽などを出力する生成AIも話題となっています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)

デジタルトランスフォーメーションとは単なる効率化にとどまらずITを効果的に用いることでビジネスモデルや組織そのものを変革していくことです。

Society5.0

ソサエティー5.0は日本政府が提唱する未来社会のコンセプトで、サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立するといったものです。

似たような言葉に情報技術の発展による産業構造の変化を意味するインダストリー4.0(第4次産業革命)があります。

IT利活用関連の法令

国家戦略特区法(スーパーシティ法)

“世界で一番ビジネスをしやすい環境”を作ることを目的に、地域や分野を限定することで、大胆な規制・制度の緩和や税制面の優遇を行う規制改革のための法律。

官民データ活用推進基本法

国や地方公共団体、民間企業など官民の諸組織の持つデータの流通、活用を促進するための法律。

デジタル社会形成基本法

デジタル社会の形成に関して、基本理念や施策策定の基本方針、国・自治体・事業者の責務、デジタル庁の設置、重点計画の作成について定めた法律。

確認問題(過去問)

ITパスポート試験令和2年問26

全国に複数の支社をもつ大企業の A 社は,大規模災害によって本社建物の全壊を想定した BCP を立案した。BCP の目的に照らし, A 社の BCP として,最も適切なもの はどれか。

ITパスポート試験令和2年問9

国連が中心となり,持続可能な世界を実現するために設定した17のゴールから成る国際的な開発目標はどれか。

ITパスポート試験令和年元問68

1年前に作成した情報セキュリティポリシについて,適切に運用されていることを 確認するための監査を行った。この活動はPDCAサイクルのどれに該当するか。

ITパスポート試験平成28年春問24

部下の育成・指導事例のうち, OJTに当たるものはどれか。

ITパスポート試験平成30年度春問7

性別,年齢,国籍,経験などが個人ごとに異なるような多様性を示す言葉として,適切なものはどれか。

ITパスポート試験令和4年問4

ITの活用によって,個人の学習履歴を蓄積,解析し,学習者一人一人の学習進行度や理解度に応じて最適なコンテンツを提供することによって,学習の効率と効果を高める仕組みとして,最も適切なものはどれか。

ITパスポート試験令和3年問24

テレワークに関する記述として,最も適切なものはどれか。

ITパスポート試験平成28年秋問25

図によって表される企業の組織形態はどれか。

組織図

ITパスポート試験令和5年問11

IoTやAI といった IT を活用し, 戦略的にビジネスモデルの刷新や新たな付加価値を生み出していくことなどを示す言葉として,最も適切なものはどれか。

これだけで受かるITパスポート

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