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AI(人工知能)の利活用 ITパスポート対策ストラテジ系-経営戦略編⑦

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2023-10-122023-10-08

AI利活用の原則及び指針

AIをより良い形で社会実装し,共有するために様々な団体から活用指針や倫理規定が公表されています。

人間中心のAI社会原則

内閣府によって策定された文章で、「AI-Readyな社会」において、国や自治体をはじめとする我が国社会全体、さらには多国間の枠組みで実現されるべき社会的枠組みに関する原則である「AI社会原則」などが提唱されています。

AI社会原則の各原則は以下の通りです。

  • 人間中心の原則
  • 教育・リテラシーの原則
  • プライバシー確保の原則
  • セキュリティ確保の原則
  • 公正競争確保の原則
  • 公平性、説明責任及び透明性の原則
  • イノベーションの原則

https://www8.cao.go.jp/cstp/aigensoku.pdf

信頼できるAIのための倫理ガイドライン

欧州連合(EU)が発表した人工知能を利用する上での倫理ガイドラインで、以下のような事項が求められています。

倫理原則

  • 人間の自律性の尊重
  • 危害の防止
  • 公平性
  • 説明可能性

要求条件

  • 人間の活動と監視
  • 技術的な頑健性と安全性
  • プライバシーとデータのガバナンス
  • 透明性
  • 多様性・無差別・公平性
  • 社会・環境福祉
  • 説明責任

人工知能学会倫理指針

日本の人工知能学会が策定した人工知能研究者や開発者が守るべきAIに関する倫理指針が規定されています。

  • 人類への貢献
  • 法規制の遵守
  • 他者のプライバシーの尊重
  • 公正性
  • 安全性
  • 誠実な振る舞い
  • 社会に対する責任
  • 社会との対話と自己研鑽
  • 人工知能への倫理遵守の要請

AI利活用ガイドライン

総務省が公表した文章で、AI利用者やAI関連のサービスの提供者が留意すべき10の原則が提唱されています。

  • 適正利用の原則
  • 適正学習の原則
  • 連携の原則
  • 安全の原則
  • セキュリティの原則
  • プライバシーの原則
  • 尊厳・自律の原則
  • 公平性の原則
  • 透明性の原則
  • アカウンタビリティの原則

https://www.soumu.go.jp/main_content/000624438.pdf

AIの種類と利用例

AIは研究開発,調達,製造,物流,販売,マーケティング,サービス,金融,インフラ,公共,ヘルスケアなど様々な領域で、は,仮説検証,知識発見,原因究明,計画策定,判断支援,活動代替などを目的として利用されています。

特化型AIと汎用AI

画像認識、音声認識、自動走行制御など特的の目的にのみ用いることのできる人工知能を特化型AI、用途を限定せず様々なことに使用できる人工知能を汎用AIといいます。似た言葉に、非自発的に特定の処理だけを行える弱いAI、動物のように自発的に広範な意思決定を行うことができる強いAIがあります。真の汎用AI、強いAIは現在のところ存在していません。

AIによる認識

画像の中から特定のものを判別したり、音声を単語レベルで識別する技術が存在しています。例えば、スマートフォンのカメラやデジタルカメラついていることの多い顔検出機能は画像認識の応用例です。

AIによる自動化

AI技術や自動車の自動運転や工場での作業の自動化など様々な自動化にも利用されています。定型的な事業プロセスを自動化するソフトウェアをRPA(Robotic Process Automation)といい、事務作業の自動化、効率化に広く利用されています。

AIアシスタント

音声等による問いかけに対し自動でタスクを実行し返答してくれるサービスをAIアシスタント(バーチャルアシスタント)といいます。チャットボットスマートスピーカーがこの例です。

生成AI

入力されたキーワードなどをもとに文章、画像、音声、プログラムコード等を生成するソフトウェアを生成AIといい、近年利用が広がっています。文章の生成、要約などを行うことができるChatGPTや画像生成ができるStable Diffusionはこの代表例です。

マルチモーダルAI

画像と音声など複数の異なるタイプの情報を収集し、それらを統合して高度な判断を行うAIを指します。

AIを利活用する上での留意事項

AIは非常に便利な一方、決して完璧なわけではなく様々なミスや偏りが発生する可能性があるのでそのことに留意して利用する必要があります。

学習データに起因するバイアス

現在AIと呼ばれているものの主流は、大量のデータを学習させることで処理を最適化する機械学習と呼ばれる手法ですが、学習データに誤った情報,偏った情報,古い情報,悪意ある情報などが含まれているとそのデータを学習したAIの出力もそれらのデータに引きずられ、有害なものとなる可能性があります。

学習データの収集に関する問題

学習に使用されるデータはWeb上などから自動で収集される場合がありますが、この中には著作権法等で保護されているものもあり、出力が元データと類似していると法律上問題となる可能性があります。

開発者はこのようなトラブルを避けるためにもデータの収集を拒否することを可能とするオプトアウトポリシーに対応することが求められています。

アルゴリズムに起因するバイアス

学習データに問題がなくともアルゴリズムに問題があるためにある種のバイアスや正常でない処理が行われる可能性があります。例えば、大規模言語モデルが正しい回答が存在しないはずの質問に対してまでもっともらしい返答してしまうハルシネーションという現象はよく知られています。

自動化された処理において、一部の判断や制御にあえて人間を介在させることで問題を修正し信頼性を高める手法をヒューマンインザループ(HITL)といいます。

出力に対する責任の問題

機械学習の一種であるディープラーニングなどではプログラム内部の構造が非常に複雑になっており、開発者であってもなぜこの入力に対してこの出力がでたかがよくわからないという事態が起こりえます。しかし、これでは重要な意思決定にAIを使用するのは危険すぎるため近年、説明可能なAIを求める声が高まっています。

また、AIサービスを利用した結果としてなんらかの問題が起こった際、誰がどのように責任をとるべきなのかのAIサービスの責任論も議論されています。

悪意ある利用者による濫用

画像や動画に関係のない人物の画像を組み込み、本物と見分けのつかないクオリティに仕立ててしまうディープフェイクなどのAI技術は悪意ある利用者によって社会に混乱を招く使われかたをされる可能性があることに留意する必要があります。

確認問題(過去問)

生成AIサンプル問題問1

生成AIの特徴を踏まえて,システム開発に生成 AI を活用する事例はどれか。

生成AIサンプル問題問2

生成AIが,学習データの誤りや不足などによって,事実とは異なる情報や無関係な情報を,もっともらしい情報として生成する事象を指す用語として,最も適切なものはどれか。

ITパスポート試験令和元年秋期問43

AIを利用したチャットボットに関する事例として,最も適切なものはどれか。

ITパスポート試験令和2年度問4

コンビニエンスストアを全国にチェーン展開するA社では,過去10年間にわたる各店舗の詳細な販売データが本部に蓄積されている。これらの販売データと,過去 10年間の気象データ,及び各店舗近隣のイベント情報との関係を分析して,気象条件,イベント情報と商品の販売量との関連性を把握し、1週間先までの天気予報とイベント情報から店舗ごとの販売予想をより高い精度で行うシステムを構築したい。このとき活用する技術として,最も適切なものはどれか。

ITパスポート試験令和2年問22

AI の活用領域には音声認識,画像認識,自然言語処理などがある。音声認識と自然言語処理の両方が利用されているシステムの事例として,最も適切なものはどれか。

ITパスポート試験令和4年問21

政府が定める“人間中心のAI社会原則”では、三つの価値を理念として尊重し,その実現を追求する社会を構築していくべきとしている。実現を追求していくべき社会の姿だけを全て挙げたものはどれか。

  1. 持続性ある社会
  2. 多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会
  3. 人間があらゆる労働から解放される社会d 人間の尊厳が尊重される社会

ITパスポート試験令和2年度問29

人間が行っていた定型的な事務作業を,ソフトウェアのロボットに代替させることによって,自動化や効率化を図る手段を表す用語として,最も適切なものはどれか。

ITパスポート試験令和元年秋期問22

人工知能の活用事例として,最も適切なものはどれか。

ITパスポート試験令和5年問14

AIの活用領域の一つである自然言語処理が利用されている事例として, 適切なものだけを全て挙げたものはどれか。

  1. Web サイト上で, 日本語の文章を入力すると即座に他言語に翻訳される。
  2. 災害時に SNS に投稿された文字情報をリアルタイムで収集し, 地名と災害情報などを解析して被災状況を把握する。
  3. スマートスピーカーを利用して, 音声によって家電の操作や音楽の再生を行う。
  4. 駐車場の出入口に設置したカメラでナンバープレートを撮影して, 文字認識処理をし,精算済みの車両がゲートに近付くと自動で開く。

ITパスポート試験令和5年問16

コールセンターにおける電話応対業務において, AI を活用し、より有効な FAQ システムを実現する事例として, 最も適切なものはどれか。

ITパスポート試験令和5年問34

記述 a~c のうち, “人間中心の AI 社会原則” において, AI が社会に受け入れられ, 適正に利用されるために, 社会が留意すべき事項として記されているものだけを全て挙げたものはどれか。

  1. AI の利用に当たっては,人が利用方法を判断し決定するのではなく, AIが自律的に判断し決定できるように, AI そのものを高度化しなくてはならない。
  2. AI の利用は, 憲法及び国際的な規範の保障する基本的人権を侵すものであってはならない。
  3. AI を早期に普及させるために, まず高度な情報リテラシーを保有する者に向けたシステムを実現し,その後, 情報弱者も AI の恩恵を享受できるシステムを実現するよう, 段階的に発展させていかなくてはならない。

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