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VRIO分析の基本知識と問題例

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2023-05-072023-05-01

VRIO分析とは

VRIO分析とは、Value(価値)、Rarity(希少性)、Inimitability(模倣困難性)、Organizations(組織)の4つの観点から企業の有する経営資源、競争力を明らかにする一種の分析枠組みです。

経営資源やケイパビリティに基づく企業観は、リソース・ベースド・ビューと呼ばれ、この潮流の代表的な研究者であるジェイ B. バーニーによって考案された分析手法です。

なお読み方は、ブイアールアイオーではなくブリオが一般的なようです。 

VRIO

VRIOの各要素の詳しい内容は以下の通りです。

Value(価値)

その資源に経済的な価値があるかを問うのがVRIOのVことValueです。

価値があるとはどういうことでしょうか。バーニーは、「その経営資源やケイパビリティによって、企業は外部環境における機会を活用し、なおかつ/または脅威を無力化できるか」*が価値のあるなしの基準だとしています。

ただそれほど明確な基準ではないため、曖昧だ、分かりにくいと批判されることもあります。

*企業戦略論 ジェイ B.バーニー, ウィリアム S.ヘスタリー, 岡田正大訳

Rarity(希少性)

その資源に希少性があるかどうかを問うがVRIOのRことRarityです。

希少性の基準となるのは、その資源や能力を持っている他社がどれだけあるかです。自社だけが保有している資源は希少性が高く、ほとんどの会社が所有している資源は希少性が低いということになります。

ここでは希少であるかないかだけが問題とされているのでその資源が有用かどうかは問われません。

Inimitability(模倣困難性)

その資源を模倣するのにどれだけのコストが必要かを問うのがVRIOのIことInimitabilityです。

例えその資源が希少であったとしても模倣困難性が低いと他社も簡単にその資源を手に入れることができるので競争力の源としては弱いということになります。

模倣困難性を高める要因には以下があるとされます。

独自の歴史的条件

ある経営資源がその企業の置かれた独自の歴史的条件(先行性、経路依存性)によって形成された場合、他者が低コストでこれを模倣すること困難となる場合があります。

例えば、マリーアントワネットが顧客だったことがブランドイメージに寄与している時計メーカーがあったとして、他社が今いくら努力してもマリーアントワネットを顧客にすることはできないでしょう。

因果関係不明性

経営資源と競争優位性の因果関係が競合他社にとって明らかでないとき、その経営資源は模倣困難となる可能性があります。

外部からは見えにくいもの、複数の要素が複雑に絡みあっており、どれが競争優位に寄与しているのか検証が難しいものなどがこれに該当します。

社会的複雑性

人間関係、信頼、企業文化など社会的関係に基づく経営資源は模倣が困難になりがちです。

特許

知的財産として法的に保護されていることは模倣のコストを高めます。ただし、特許の取得には情報の公開が必要となりますので業種によっては十分な効果が得られないこともあります。

Organizations(組織)

資源・能力を十分に活用することのできる組織体制が築かれているかを問うのが、VRIOのOことOrganizationsです。

優れた資源を有していてもそれを活かせる組織がないと十分な競争力を発揮できないということになります。

競争優位を持つ条件

価値のない資源は当然競争優位を生みません。

例え価値があっても希少性がなければ、他社に対する優位性の源とはなりません。

価値がありかつ希少性もあるが、模倣困難性はない資源は、一時的な競争優位の源泉とはなります。

価値がありかつ希少性がありかつ模倣困難性がある資源は、持続的な競争優位の源泉とはなりえます。

さらに、これに加え資源を活用できる組織がある場合、真の持続的な競争優位を得ることができます。

まとめるとこうなります。

価値(V)希少性(R)模倣困難性(I)組織(0)競争優位
×---×
×--×
×-一時的優位
×持続的優位
真の持続的優位

他のフレームワークとの関係

よく知られた環境分析のフレームワークにSWOT分析というのがあります。

VRIO分析はSWOT分析でいえば自社の強みや弱みを明らかにするものであり、内部環境分析に分類されます。

これに対して外部環境分析としては、PEST分析やファイブフォース分析がよく知られています。

プラス面マイナス面
内部環境強み弱み
外部環境機会脅威

問題例

ITストラテジスト午前2平成28年問7

環境分析の代表的なフレームワークについて、外部環境を分析するものと内部環境を分析するもので整理した図のcに当てはまるものはどれか。ここで、ア~エはa~dのいずれかに対応する。

経営環境分析フレームワーク
外部環境分析に分類されます。
総合的な分析枠組みです。
内部環境分析に分類されます。
内部環境分析に分類されます。

中小企業診断士「企業経営理論」令和2年第1問

VRIOフレームワークにおける競争優位に関する記述として、最も適切なものはどれか。

数多くの企業に保有されており希少性がないので一時的な競争優位の源泉にもなりません。
一時的ではなく持続的な競争優位の源泉となります。
VRIを満たせば持続的な競争優位の条件とされているので微妙なところですが、実際にこれらを活用するにはOも大切なので不正解です。

中小企業診断士企業経営理論過去問 令和2年

https://ja.mondder.com/questions?id=84

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中小企業診断士「企業経営理論」平成30年第3問

企業の経営資源に基づく競争優位を考察するVRIOフレームワークにおける模倣困難性は、持続的競争優位を獲得するために必要な条件とされている。この模倣困難性に関する記述として、最も適切なものはどれか。

模倣を行う時のコストに影響を与える要因になります。
金銭で解決できるため非常に高いというわけではありませんが模倣困難性はあります。
このような場合、模倣困難性を持つ経営資源になりえます。

中小企業診断士企業経営理論過去問 平成30年

https://ja.mondder.com/questions?id=79

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