薬剤師国家試験 過去問 第105回2日目(1) 一般問題(薬学実践問題)
オプション
問題文正答率:50.00%
一般問題(薬学実践問題)【物理・化学・生物、衛生/実務】
問196−197 65歳男性。週3回の血液透析が施行されており、処方1の薬剤を服用していた。
- (処方1)
- 炭酸ランタン口腔内崩壊錠250mg 1回2錠(1日6錠)
- 1日3回 朝昼夕食直後 14日分
今回の検査において、eGFR15mL/min/1.73m2、血中リン濃度5.5mg/dL、補正血中カルシウム濃度9.0mg/dL、血清アルブミン濃度3.7g/dL、ヘモグロビン値12.0g/dL、血清フェリチン値150ng/mLという結果であった。また、患者から胃部不快感の訴えもあり処方2に変更となった。
- (処方2)
- スクロオキシ水酸化鉄チュアブル錠250mg 1回1錠(1日3錠)
- 1日3回 朝昼夕食直前 14日分
問196(実務)
処方2及びこの患者への生活指導に関する説明のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。
問197(物理・化学・生物)
処方2の薬剤は、酸化水酸化鉄(FeO(OH))が主成分である。酸化水酸化鉄は水酸化鉄(Ⅲ)(Fe(OH)3)から水(H2O)が脱離したものである。酸化水酸化鉄及び水酸化鉄(Ⅲ)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
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問題文正答率:50.00%
問198−199 60歳男性。骨折治療のため入院中。逆流性食道炎のため、1ヶ月前からオメプラゾール腸溶錠20mgを1日1回1錠、朝食後に服用している。患者の服薬アドヒアランスは良好であったが、症状の改善がみられなかった。そのため、医師から他に有効なプロトンポンプ阻害薬(PPI)がないか薬剤師に相談があった。薬剤師がPPIと薬物代謝酵素CYP2C19に関する文献などを調べたところ、図のデータを見つけた。当院には、他にPPIとしてランソプラゾール腸溶性口腔内崩壊錠30mgとエソメプラゾールマグネシウム水和物カプセル20mgの採用がある。この患者の肝機能及び腎機能は正常であり、ヘリコバクター・ピロリ抗体検査結果は陰性である。
エソメプラゾールは、オメプラゾールの光学異性体のS体のみの薬物である。
問198(実務)
図から薬剤師が考えた内容として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
問199(物理・化学・生物)
オメプラゾール腸溶錠は、オメプラゾールのR体とS体の混合物である。その有効性はR体とS体で異なるため、その血中濃度をR体とS体とに分別して定量することによって有用な情報が得られる。血中濃度測定における液-液抽出法による血液の前処理とHPLCによる分別定量法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
解説・コメント
198
PPIが発現していた場合胃内pHは上昇するためグラフは上方へ移動する
また、反対に薬効が十分発現していない時にはグラフは下方へ移動する
199
1→分配係数は同じである
3→液-液抽出法に使用することはできない
4→移動相にエナンチオマーの等量混合物であるラセミ体を添加すると鏡像異性体の分離が達成できなくなる
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問題文正答率:50.00%
問200−201 75歳女性。肝臓がんの疑いで外来通院中。今回、超音波検査で結節性病変を認めたため、精査目的で入院し、造影剤を用いた画像検査を行うことになった。ヨード造影剤にアレルギーがあるため、新しく採用となった超常磁性酸化鉄製剤であるフェルカルボトラン(注)を用いて画像を撮影することになった。図は肝臓におけるフェルカルボトラン投与前後の画像を模式的に示す。
(注)フェルカルボトラン:細粒子化した酸化鉄(Fe2O3)をデキストランやその誘導体などでコーティングしてコロイド化したもの。
肝臓における作用機序:本剤は投与後、肝臓内ではクッパー細胞に取り込まれ、色の濃い画像が得られる。肝腫瘍組織ではクッパー細胞が欠如しているため、色の薄い画像が得られる。図中では、信号強度の強い方が黒く表されている。
問200(実務)
この患者を担当する研修医から、薬剤部のDI(医薬品情報)担当者に、この薬剤についての質問があった。DI担当者の説明として、適切なのはどれか。2つ選べ。
問201(物理・化学・生物)
この患者に行った画像検査法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
解説・コメント
200
2→乳酸アシドーシスを引き起こすため不適切である
4→腎機能が低下している患者にも使用可能である
5→重大な副作用として起こることがある
201
1→使用することはできない
2→波長は10⁻¹~10³mである
3→超音波診断の記述である
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問題文正答率:50.00%
問202−203 5歳男児。体重19kg。歯の痛みのため、母親が自分用として購入していた市販薬の痛み止め(1錠当たり、アスピリン300mg、無水カフェイン25mgを含む)を2時間ごとに2錠、計5回服用させたところ、嘔吐、腹痛が出現したので受診した。受診時のサリチル酸の血中濃度は36.5mg/dLであった。受診後は、活性炭や下剤の投与と強制利尿を行うとともに(A)の投与を行い、翌日には完治退院した。男児の肝機能及び腎機能は正常であった。
問202(実務)
(A)に該当する最も適切なのはどれか。1つ選べ。
問203(物理・化学・生物)
アスピリンは、肝臓などでサリチル酸に代謝され、腎臓で尿中へ排泄される。サリチル酸に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。ただし、サリチル酸の代謝は無視する。
解説・コメント
202
1→アセトアミノフェンの解毒に使用される
2→ダビガトランの中和に使用される
4→中毒性ヘモグロビン血症に使用される
5→シアンおよびシアン中毒の解毒に使用される
203
2→サリチル酸の分子形の比率は低下する
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問題文正答率:50.00%
問204−205 細胞膜などの半透膜を介した水の移動は、膜で隔てられた溶液の浸透圧の差によって起こる。浸透圧の原理を利用した薬物も用いられている。
問204(物理・化学・生物)
膜により隔てられた二つの水相A、Bの浸透圧ΠA、ΠBと水の移動する方向を表す模式図として正しいのはどれか。1つ選べ。なお、図中の●は水に溶けている溶質で、その数の違いは濃度の大小を表し、矢印は水の移動する方向を表す。
問205(実務)
前問の浸透圧の原理に基づいた水の動きを利用した薬物はどれか。1つ選べ。
解説・コメント
204
溶質濃度が高いAの方が浸透圧は高い
浸透とは水が半透膜を介して溶質濃度が低い方から溶質濃度が高い方へと移動すること
Bの溶質濃度が低いのでBからAへと水は移動しているものが適切
205
2→オピオイド鎮痛薬に拮抗する
3→レインアンスロンがアウエルバッハ神経叢を刺激する
4→リシノール酸が小腸を刺激して蠕動運動を高める
5→結腸直腸粘膜の副交感神経末端に作用する
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問題文正答率:50.00%
問206−207 98歳女性。体重30kg。逆流性食道炎のため、薬物アが処方された。
- (処方)
- 薬物ア錠10mg粉砕 1回0.7錠(1日0.7錠)
- 1日1回 朝食後 14日分
薬剤師が処方監査を行ったところ、粉砕して服用すると問題があることが判明したため、処方の変更を医師に提案することとなった。
問206(物理・化学・生物)
薬物アが生体内において受ける変化(A~D)に関する記述のうち、粉砕した後に服用すると問題が起こる理由と深く関連しているのはどれか。1つ選べ。
問207(実務)
粉砕して服用する場合の不都合を回避するために、当該病院の採用薬の中から薬剤師が提案する薬物として、適切でないのはどれか。1つ選べ。ただし、これらの薬剤は全て錠剤であり粉砕して用いるものとする。
解説・コメント
206
2~5→錠剤粉砕後、服用した際に起こる問題との関連性はない
207
3→オメプラゾールである
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問題文正答率:50.00%
問208−209 65歳男性。がんで入院中。当初、医療チームの方針として、アプレピタントカプセルを制吐剤として投与することが計画されていたが、口内炎が悪化したため、ホスアプレピタントの点滴静注への変更について再度検討することとなった。
問208(実務)
処方の再検討に際して、薬剤師が医療チームに行う説明として適切でないのはどれか。1つ選べ。
問209(物理・化学・生物)
アプレピタントからホスアプレピタントが創製されたのと同様な目的で開発されたプロドラッグはどれか。1つ選べ。
解説・コメント
208
3→血液脳関門を通過しにくくなっている
209
1→経口吸収の改善を目的としている
2→消化管からの吸収性の改善を目的としている
3→経口投与を可能にすることを目的としている
5→副作用を少なくし、また薬効の持続時間を長くすることを目的としている
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問題文正答率:50.00%
問210−211 73歳男性。高血圧と糖尿病のため以下の薬剤が処方されていた。
- (処方)
- メトホルミン塩酸塩錠250mg 1回1錠(1日3錠)
- 1日3回 朝昼夕食後 30日分
- オルメサルタンメドキソミル錠20mg 1回1錠(1日1錠)
- シタグリプチンリン酸塩水和物錠50mg 1回1錠(1日1錠)
- ピオグリダゾン塩酸塩錠30mg 1回1錠(1日1錠)
- 1日1回 朝食後 30日分
薬剤師が患者宅を訪問した際、この患者に末梢神経障害などがみられ、薬剤をPTPシートから取り出すことに不自由していた。そのため、薬剤師は、一包化することを医師に提案することにした。患者が服用しているオルメサルタンメドキソミル錠の添付文書を確認したところ、下記のような記載があった。
【取扱い上の注意】
本剤をメトホルミン塩酸塩製剤と一包化し高温多湿条件下にて保存した場合、メトホルミン塩酸塩製剤が変色することがあるので、一包化は避けること。
問210(物理・化学・生物)
オルメサルタンメドキソミル錠に含まれる有効成分Ⅰはプロドラッグであり、生体内において図に示すような活性体ⅡとⅢを生じる。一方、高温多湿条件下でもⅠの加水分解反応によってⅢが生成し、これとメトホルミンとの反応によって変色が起こるものと推定されている。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
問211(実務)
この処方を調剤する場合に、薬剤師の対応として適切でないのはどれか。1つ選べ。なお、それぞれのケースにおいて患者の了承はあるものとする。
解説・コメント
210
2→テトラゾリル基はカルボキシ基の生物等価体である
3→脱炭酸反応である
4→メトホルミンは高い求核性をもつ
211
4→他のものに変更しても同様のことが起こるため不適切である
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問題文正答率:50.00%
問212−213 35歳女性。肺動脈性肺高血圧症のためにイロプロスト吸入液を使用していた。しかし、仕事で出張が多くネブライザーを持ち歩いての使用に不都合があるため、下記の薬剤へ変更となった。
- (処方)
- ベラプロストナトリウム徐放錠60μg 1回1錠(1日2錠)
- 1日2回 朝夕食後 14 日分
問212(実務)
薬剤師が行う患者への説明として、適切なのはどれか。2つ選べ。
問213(物理・化学・生物)
イロプロストやベラプロストナトリウムはプロスタグランジンI2の構造をもとに開発された薬物である。これらに関する記述のうち、最も適切なのはどれか。2つ選べ。
解説・コメント
212
2→血液を固まりにくくさせる作用がある
4→安全性が確立されていなため禁忌である
213
1→代謝を受けにくくしている
2→セレキシパグの記述である
4→Z配置である
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問題文正答率:50.00%
問214−215 22歳男性。身長175cm、体重60kg。花粉症の症状がひどくなったので、家族が使用していた一般用医薬品の小青竜湯エキス顆粒の服用を考えたが、陸上競技の国体選手であったため、かかりつけ薬剤師に相談した。薬剤師は、小青竜湯エキス顆粒にはアンチ・ドーピング規程における禁止物質が含まれるため、服用しないよう指示した上で、近隣の医療機関への受診を勧奨した。その結果、次の薬剤が処方されたので、薬剤師が処方監査を行った。
- (処方)
- フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg 1回1錠(1日2錠)
- 1日2回 朝夕食後 14日分
- ベタメタゾン錠0.5mg 鼻水のひどいとき 1回1錠 10回分(10錠)
- フルチカゾンフランカルボン酸エステル点鼻液27.5μg 56噴霧用 1本
- 1回 2 噴霧 両鼻腔 1日 1回 点鼻
- フルオロメトロン点眼液 0.1%( 5mL/本) 1 本
- 1回1滴 1日4回 両眼点眼
- エピナスチン塩酸塩点眼液0.05%(5mL/本) 1本
- 1回1滴 1日4回 両眼点眼
問214(物理・化学・生物)
小青竜湯エキス顆粒に含まれる成分のうち、アンチ・ドーピング規程における禁止薬物に該当するのはどれか。1つ選べ。
問215(実務)
処方された薬剤のうち、アンチ・ドーピングの観点から、処方変更を医師に提案すべき薬剤はどれか。1つ選べ。
解説・コメント
214
1→グリチルリチン酸の構造である
2→ショウガオールの構造である
4→メチルオイゲノールの構造である
5→シンナムアルデヒドの構造である
215
アンチドーピング規定で禁止されている投与経路は経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、経直腸投与がある
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問題文正答率:50.00%
問216−217 68歳男性。2週間前から労作時呼吸困難が出現し、増悪傾向のため医療機関を受診した。心房細動、左室駆出率(LVEF)の低下した心不全と診断され、酸素投与も必要なため入院加療となった。その後、軽快し、以下の処方で治療されている。
- (処方)
- アピキサバン錠2.5mg 1回1錠(1日2錠)
- 1日2回 朝夕食後 7日分
- ビソプロロールテープ4mg 1回1枚(1日1枚)
- 1日1回朝 7日分
- 胸部、上腕部又は背部に貼付(全7枚)
身体所見・検査値
心エコー心嚢液なし、右心不全所見なし、LVEF45%、CCr23mL/min、ヘマトクリット値32.9%、血清アルブミン3.3g/dL、血清クレアチニン2.25mg/dL、Na139mq/L、K4.4mq/L、BNP452.7pg/mL、心拍数120回/分、血圧150/90mmHg
上記の検査値を確認し、心拍数の調節が不十分なため、心拍数の調節を目的として薬剤Aが追加された。
問216(実務)
薬剤Aとして最も適切なのはどれか。1つ選べ。
問217(物理・化学・生物)
下図は薬剤Aの投与前と投与後の心電図(Ⅱ誘導)を示している。この変化が起こる理由として適切なのはどれか。2つ選べ。
解説・コメント
216
1→水の再吸収を抑制する利尿薬である
2→水の再吸収を抑制する利尿薬である
4→うっ血性心不全には禁忌である
5→重度のうっ血性心不全には禁忌である
217
1→Na⁺の流出は抑制しない
4→洞房結節、房室結節の脱分極は抑制される
5→不応期は延長される
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問題文正答率:50.00%
問218−219 65歳男性。非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)と診断され、切除術を受けた。2年後に再発が確認されたため、治療方針を検討することになった。患者の状態は、ステージⅣ、ECOG PS 3(注)である。
(注)ECOG PS(Eastern Cooperative Oncology Group performance status)3:身の回りのことはある程度できるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床している状態。
問218(実務)
患者の状態を考慮し、ゲフィチニブ単剤投与を検討している。投与の決定にあたり、考慮すべき患者情報として優先度が最も低いのはどれか。1つ選べ。
問219(物理・化学・生物)
前問で検討している薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
解説・コメント
218
1→65歳以上と、65歳未満では血漿中濃度、副作用の発現率に差はみられないため
219
2→低分子型分子標的薬である
3→増殖因子には結合しない
5→遺伝子を切断する酵素ではない
https://ja.mondder.com/fq?id=5930🔗
問題文正答率:50.00%
問220−221 65歳女性。体重50kg。数日前より左腰背部痛、悪寒を訴え、近医を受診した。精査の結果、腎結石と診断され、入院し経尿道的腎尿管結石砕石術(fTUL)が施行された。術後、翌朝に収縮期血圧約70mmHgへの低下を認めた。敗血症性ショック、播種性血管内凝固症候群(DIC)と診断され、ICUへ転棟した。ICU入室後、ドパミン、ノルアドレナリン、バソプレシンが持続微量点滴にて投与され循環動態は安定、尿量も保たれた。抗菌薬はドリペネムとし、DICに対する以下の処方案について医師がICU担当の薬剤師に意見を求めた。
- 処方案 持続微量点滴
- トロンボモデュリン アルファ(遺伝子組換え)点滴静注用(12,800U/1本)1.5本
- 生理食塩水100mL
- 1日1回 24時間かけて投与 3日連日投与
- 備考 通常、成人には、トロンボモデュリンアルファとして1日1回 380U/kg
問220(実務)
医師に対する、ICU担当の薬剤師の回答として適切なのはどれか。2つ選べ。
問221(物理・化学・生物)
医師より、患者に用いるトロンボモデュリン アルファ(遺伝子組換え)について、天然のトロンボモデュリンとの違いを知りたいとの問合せがあった。文献を探したところ、天然のトロンボモデュリンの模式図を見つけた(下図)。天然のトロンボモデュリンの領域A~Cのうち、トロンボモデュリン アルファ(遺伝子組換え)に相当する領域として正しいのはどれか。1つ選べ。
解説・コメント
220
1→出血がある場合には禁忌である
2→中和剤は知られていない
4→生物由来製品である
221
活性化プロテインCは第Ⅴ、Ⅷ血液凝固因子を分解するため最終産物のフィブリン生成が抑制される
https://ja.mondder.com/fq?id=5931🔗
問題文正答率:50.00%
問222−223 72歳男性。A病院の泌尿器科及びB病院の循環器科を受診している。A病院において、侵襲危険度の高い経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)実施のため、泌尿器科医師から、現在服用中の薬を確認し、術前中止薬の有無を調査するよう、A病院の入退院支援センター担当の薬剤師に依頼があった。
患者が持参したお薬手帳の内容、患者へのインタビューなどから、患者の服用薬が判明した。
- 患者の服用薬
- A病院 泌尿器科
- シロドシン口腔内崩壊錠4mg 1回1錠(1日2錠)
- ファモチジン口腔内崩壊錠20mg 1回1錠(1日2錠)
- 1日2回 朝夕食後
- B病院 循環器科
- ニフェジピン徐放錠20mg 1回1錠(1日1錠)
- オルメサルタンメドキソミル口腔内崩壊錠20mg 1回1錠(1日1錠)
- リバーロキサバン錠10mg 1回1錠(1日1錠)
- 1日1回 朝食後
問222(実務)
患者は、手術の前日に入院することが決まった。入退院支援センター担当薬剤師の対応として、適切なのはどれか。2つ選べ。
問223(物理・化学・生物)
処方されている抗血栓薬を服用した患者にみられる血液凝固・線溶系の変化として適切なのはどれか。2つ選べ。
解説・コメント
222
1→すべての薬を中止する必要はない
2→ファモチジンは中止する必要のない薬である
5→血圧への影響が少ない薬のため中止の必要はない
223
第Ⅹa因子を阻害するとトロンビンとフィブリンの生成が抑制される
https://ja.mondder.com/fq?id=5932🔗
問題文正答率:50.00%
問224−225 62歳男性。肺炎感染症の治療のため、スルバクタムナトリウム・アンピシリンナトリウムの点滴投与が開始された。肺炎は改善されたが、投与5日目から、腹痛、頻回の水様性の下痢、発熱、白血球数及びCRP値の上昇が認められた。直腸内視鏡検査を行ったところ、多発する黄白色の偽膜、浮腫やびらんが認められ、偽膜性大腸炎と診断された。このため、スルバクタムナトリウム・アンピシリンナトリウムの点滴投与を中止し、抗菌薬の変更についてカンファレンスが開かれた。
問224(物理・化学・生物)
この患者で新たに発症した腸疾患とその原因菌に関する説明のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
問225(実務)
このカンファレンスにおいて、薬剤師が提案する抗菌剤として適切なのはどれか。2つ選べ。
解説・コメント
224
3→空気中で生存できる芽胞形成菌である
225
偽膜性大腸炎にはバンコマイシン、メトロニダゾールが使用される
https://ja.mondder.com/fq?id=5933🔗
問題文正答率:50.00%
問226−227 62歳女性。身長156cm、体重54kg。慢性腎不全、2型糖尿病、高血圧症で外来治療中。骨粗しょう症はない。今回、慢性腎不全の病状が進行し、入院加療することになった。入院時の持参薬と検査値は以下の通りであった。
持参薬:アムロジピンベシル酸塩錠5mg、フロセミド錠20mg、リナグリプチン錠5mg、ボグリボース錠0.2mg、ポリスチレンスルホン酸カルシウム20%ゼリー25g、球形吸着炭細粒2g/包
検査値:Na140mEq/L、K5.2mEq/L、Cl108mEq/L、P5.9mg/dL、補正Ca7.5mg/dL、血清アルブミン3.7g/dL、AST24IU/L、ALT26IU/L、BUN50.5mg/dL、血清クレアチニン1.8mg/dL、eGFR23mL/min/1.73m2、intact-PTH210pg/mL(標準値:10~65pg/mL)
問226(実務)
医師は検査値を確認後、持参薬は継続服用とし、さらに薬剤を追加処方した。追加された薬剤として適切なのはどれか。2つ選べ。
問227(衛生)
この患者の病態に関連するビタミンやミネラルに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
解説・コメント
226
2→止血剤であるが患者には使用されない
4→骨粗しょう症に使用される
5→二次性副甲状腺機能亢進症に使用される
227
1→肝臓で25位が腎臓で1位が水酸化されたもの
2→遺伝子転写は関与しない
3→フィチン酸やシュウ酸とキレートは生成しない
https://ja.mondder.com/fq?id=5934🔗
問題文正答率:50.00%
問228−229 小学生の男児がサッカークラブに加入した。母親は、これを機に自宅の救急箱を充実したいと考え、かかりつけの薬局を訪れた。男児は過去に栗きんとんや大量の甘栗を摂取した際に呼吸困難、全身にかゆみを伴うむくみとじん麻疹を経験したことがある。バナナ、アボカドを摂取しても同様の症状が現れたことがある。
問228(実務)
この男児に使用するものとして販売を避けることが適切なのはどれか。1つ選べ。ただし、( )内は原材料を示す。
問229(衛生)
この男児への使用を避けることが適切な製品及び関連する食物アレルギーに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
解説・コメント
228
患者はラテックスアレルギーであると判断できる
そのため、100%天然ゴムの販売は避けるべきである
229
2→アレルギー様食中毒の記述である
4→栗やバナナは特定原材料に該当しない
5→成人にもみられる
https://ja.mondder.com/fq?id=5935🔗
問題文正答率:50.00%
問230−231 ジアゼパム錠を常用している32歳女性患者から主治医に、妊娠と薬の服用について相談があった。相談を受けた医師がジアゼパム錠の添付文書を確認したところ、次の記載があった。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
(1)妊婦(3ヶ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。妊娠中に本剤の投与を受けた患者の中に奇形を有する児等の障害児を出産した例が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。医師は、この記載の下線部の根拠についてさらに詳細な情報を得るため、医薬品情報室の薬剤師に相談した。薬剤師は、妊娠中のベンゾジアゼピン系薬剤の服用と胎児の奇形発生の関係に関する論文を検索した。
問230(衛生)
薬剤師が検索した論文の1つに下表が掲載されていた。このデータから計算されるベンゾジアゼピン系薬剤の服用による奇形発生のオッズ比として最も近い値はどれか。1つ選べ。
問231(実務)
薬剤師が医師に情報提供を行うため、さらに論文を検索した結果、下図を含む別の論文を見出した。この図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
奇形発生のオッズ比
妊娠中のベンゾジアゼピン系薬剤の使用と奇形発生の関連
(コホート研究A~Gは、症例対照研究H~Kと比較するためにオッズ比を使用)
(出典:BMJ. 317:839-843, 1998)
解説・コメント
230
症例オッズ (30/65)/(35/65)
対照オッズ (1000/4000)/(3000/4000)
オッズ比(30/35)/(1000/3000)≒2.57
231
1→メタアナリシスである
2→フォレストプロットである
3→有意な因子ではない
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問題文正答率:50.00%
問232−233 7歳男児。昨夜から40℃の発熱があり、小児科診療所でインフルエンザと診断され、下記の薬剤が処方された。2日前に両親もインフルエンザと診断され、高熱で寝込んでいるため、近所に住んでいる70歳の祖母が男児の処方箋を持って薬局を訪れた。祖母は1年前にインフルエンザの予防接種を受けており、現時点で発熱等の症状はない。
- (処方)
- ザナミビル水和物吸入薬 1回2ブリスター(1日4ブリスター)
- 1日2回 朝夕吸入 5日分
問232(実務)
薬剤師が、本剤の使用に際して祖母に行う説明として適切なのはどれか。2つ選べ。
問233(衛生)
この祖母からインフルエンザの予防接種について薬剤師に質問があった。インフ ルエンザの予防接種に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
解説・コメント
232
1→ステロイドが含有していないので口腔カンジダは発症しにくい
2→薬局や、医療機関に相談する必要がある
4→5日間吸入する必要がある
233
1→毎年度1回受けることが望ましい
4→不活化ワクチンである
そのため発症することはない
5→B類疾病のため個人予防に重点を置いている
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問題文正答率:50.00%
問234−235 ある新人薬剤師が、性的接触を介して感染する感染症と診断された患者に処方された薬剤の調剤を何例か経験したため、この感染症に関する情報を調べた。我が国において、この感染症は異性間よりも同性間の性的接触による感染の方が多く、また、症状が進行した場合はニューモシスチス肺炎やカンジダ症を合併することが分かった。
問234(衛生)
我が国におけるこの感染症の男女別の発生動向を示した図はどれか。1つ選べ。
問235(実務)
この感染症の治療薬に含まれる成分として正しいのはどれか。1つ選べ。
解説・コメント
234
2→性器クラミジア感染症のグラフである
3→性器ヘルペスウイルス感染症のグラフである
4→淋菌感染症のグラフである
5→梅毒のグラフである
235
1→抗ヘルペスウイルス薬である
2→マクロライド系抗菌薬である
3→テトラサイクリン系抗菌薬である
5→C型肝炎治療薬である
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問題文正答率:50.00%
問236−237 60歳男性。喫煙歴なし。極端な運動不足である。特定健康診査の案内が来ていたので、健診を受けることになった。後日、実施機関から健診結果及びこれに応じた生活習慣の改善に関する情報が届いたので、自宅近くの薬局を訪れ、薬剤師に相談した。健診結果は身長165cm、体重81.7kg、BMI30、腹囲100cm、収縮期血圧155mmHg、拡張期血圧95mmHg、中性脂肪220mg/dL、HDL-C35mg/dL、空腹時血糖値90mg/dL、HbA1c5.2%(NGSP値)であった。
問236(実務)
この特定健康診査の結果から、この男性は特定保健指導の対象者となった。その原因となった検査項目として誤っているのはどれか。1つ選べ。
問237(衛生)
特定健康診査の結果に基づき、この男性に対して行われる特定保健指導に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
解説・コメント
236
メタボリックシンドロームとは内蔵脂肪型肥満に加え、高血糖、高血圧、脂質異常のうちいずれか2つ以上を併せ持つ状態のこと
237
患者は腹囲100cmであり、高血圧であるので積極的支援の対象である
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問題文正答率:50.00%
問238−239 62歳男性。進行性下行結腸がん手術後、テガフール・ウラシル配合剤を内服していた。その後、脾転移、腹膜播種が認められたため、FOLFIRI(ロイコボリン、5-FU、イリノテカン併用)+セツキシマブ療法を行うことになった。化学療法実施に先立ち、以下の検査を行った。
その結果、①KRASのエクソン2(コドン12,13)の変異のホモ接合型及び②UGT1A1*28のホモ接合型であった。
問238(衛生)
この患者の遺伝子検査に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
問239(実務)
遺伝子検査を実施する理由について、患者から質問があり、薬剤師が回答することになった。この遺伝子検査に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
解説・コメント
238
1→がん遺伝子である
3→アポトーシス誘導は起こさない
5→グルクロン酸抱合を受けにくくなる
239
RAS遺伝子に変異があるとセツキシマブの有効性は低下する
またUGT1A1遺伝子に変異があると副作用が起こりやすくなる
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問題文正答率:50.00%
問240−241 有名芸能人がコカインを所持し、使用していた事件が報道された。地域の自治会より、健康サポート薬局の薬剤師にコカインの特徴や問題点について講演依頼があった。
問240(実務)
コカイン摂取により起こる影響について、薬剤師が地域住民に説明することになった。コカインに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
問241(衛生)
コカインの構造、代謝及び作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
解説・コメント
240
2→中枢神経興奮作用である
3→身体的依存がほとんどない
4→耐性がほとんどない
241
1→トロパン骨格を有する
2→中枢興奮作用を示す
3→耐性はほとんどない
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問題文正答率:50.00%
問242−243 68歳男性。認知症の検査のため入院。問診に加え、ドパミントランスポーターシンチグラフィーを行うことになった。担当医より薬剤部に放射性医薬品の準備依頼があった。
問242(実務)
この患者の検査に使用する放射性医薬品はどれか。1つ選べ。
問243(衛生)
この検査で使用する画像診断法はどれか。1つ選べ。
解説・コメント
242
1→脳腫瘍や脳血管障害の診断に使用する
2→腫瘍シンチグラフィーによる悪性腫瘍の診断に使用する
3→腫瘍シンチグラフィーによる悪性腫瘍の診断に使用する
4→骨髄系疾患の診断に使用する
243
認知症の検査が目的のためSPECTが最適である
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問題文正答率:50.00%
問244−245 医療従事者が入院患者の採血を行い、患者の血液が付着した針を廃棄しようとした際、誤って指に針を刺してしまった。そこで、針刺し事故対応マニュアルに従い対処することになった。診療録で当該患者の情報を確認したところ、血中HBs抗原とHBe抗原がともに陽性であった。受傷した医療従事者は10年前にB型肝炎ワクチンの接種歴があるが、血中抗HBs抗体価を調べたところ、陰性であった。
問244(実務)
感染制御部から薬剤部に対し、必要な薬剤確保の依頼があった。この受傷者に対して投与する薬剤の組合せとして正しいのはどれか。1つ選べ。
問245(衛生)
下記のうち、感染性廃棄物として廃棄する必要がないのはどれか。1つ選べ。
解説・コメント
244
抗HBs抗体価陰性のため事故後はすぐに抗HBs人免疫グロブリンを投与する
そしてHBワクチンを事故直後、1か月後、6か月後の3回接種する
245
2→高圧蒸気滅法で滅菌処理を行っているので非感染性廃棄物に分類される
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0
解説・コメント
196
2→腎性貧血に適応はない
3→便は黒くなる
5→カリウムが含まれているので、過剰摂取には注意する
197
1→溶解度に依存する
3→pHにより溶解度は変化する
5→比表面積により変化する